3で、「ステロイド離脱後は、皮膚の過敏性が亢進して、さまざまなものに反応しやすくなる」と書きました。「ステロイド離脱後の過敏性亢進の減弱正常化」という語も用いました。これについて解りやすい例で、補足しておきましょう。
この人の皮膚は、脱ステロイドしてリバウンドの後、かなり治まってきました。たまたま。毛膿炎か何かで、絆創膏を貼りました。そうしたらそれにかぶれました。日付は99年の11月になってますね。

私はこれを、おそらく「脱ステロイド後の被刺激性の亢進」によるものだろう、と考えました。それで、約一年後の00年9月、特に傷も何もなかったのですが、同じ絆創膏を貼ってみてもらいました。「脱ステロイド後の被刺激性の亢進」がどの程度落ち着いたかを確認するためです。

一年前と比べて、赤くなっていないでしょう?
これが、「ステロイド離脱後の過敏性亢進の減弱正常化」です。
皮膚科学的には、これがallergyなのかirritationなのか、すなわち免疫反応が関与しているのか、皮膚局所に限ったものなのかが問題になるのでしょうが、私はそういうことにはあまり関心がない。
離脱直後の人は絆創膏にかぶれやすいから気を付けるように、という話をしているのでは決してありません。この人の場合、たまたま絆創膏で「脱ステロイド後の過敏性の亢進」現象がみられた、ということです。
それが特異的IgEで陽性に出るアレルゲンのどれかなのかもしれないし、ステロイドに変えて保湿のために外用していた非ステロイド系の軟膏や白色ワセリンなのかもしれない。「脱ステロイド後、なかなか落ちつかないときは、脱軟膏・脱保湿を試みろ」と聞いたことはないですか?
保湿剤で楽になる一方、弱い刺激反応が起きていて、それが持続しているがために赤みがおさまりにくいのかもしれない、そういうことです。
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少し、話がそれます。
kittyさん(インターネットで知り合ったある患者のハンドル名です。前章「見えない悪化因子」を参照ください)の家の場合、空中浮遊真菌数は、00年7月1日、晴れの日に調査して確認しました。空気1立方メートルあたり換算で、
寝室 |
88個 |
気温27℃、相対湿度77%、朝から締め切り状態にて採取 |
居間 |
119個 |
気温27℃、相対湿度77%、朝から締め切り状態にて採取、エアコン作動中 |
外部(南側ベランダ) |
325個 |
気温31℃、相対湿度68% |
外部(建物南側芝生上) |
375個 |
気温31.5℃、相対湿度66% |
同月14日(晴れ)に、三重県の丘陵地の新興住宅地の別の患者宅の調査では、
寝室 |
19個 |
気温26℃、相対湿度70%、朝から締め切り状態にて採取、エアコン作動中 |
居間 |
50個 |
気温30℃、相対湿度72%、採取直前に締め切って採取 |
外部(建物南側庭) |
156個 |
気温30℃、相対湿度72% |
やはり同日の、三重県の水田地帯の田舎の一戸建てでは、
寝室 |
31個 |
気温30℃、相対湿度70%、朝から締め切り状態にて採取 |
居間 |
31個 |
気温26℃、相対湿度62%、採取直前に締め切って採取、エアコン作動中 |
外部(建物南側庭) |
888個 |
気温30℃、相対湿度78% |
空中浮遊菌が、土壌由来で、水田地帯には多いというのがよくわかりますね。それと同時に、kittyさんの家の場合、周辺で大量にカビが発生しているわけでは決してなく、なぜか、後の二軒に比べて、締め切ってエアコンを作動させているにもかかわらず、室内の浮遊真菌がやや多い、というのがお分かりでしょうか。
これは家の構造ではなく、立地にあります。kittyさんの家の南側ベランダからは、丘のように立ち上がる芝生が見えて綺麗です。下図は、その斜面で、浮遊真菌を測定しているときにkittyさんの家のベランダを見下ろすようにして撮影した画像です。

建物の構造に問題がなくても、立地によって室内にカビが生えやすい状況が生まれるわけです。前章に書いたように、室内での「カビ指数」(カビの生育しやすさ)は高かった。
だから、私は「高層ビルにワンルームマンション借りて、そこに住めよ」と何度も言ったよね?
それで、本論に戻りますが、空中浮遊カビというのは、カビの種類によって若干の差はありますが、大抵梅雨時にピークになります。それも、雨が降っているときは湿度の関係で胞子が重くなるので飛ばず、梅雨の合間の晴れの日、それこそ杉花粉のように舞い上がって浮遊し、あらたな生育場所を求めるわけです。
より遠くに飛び、自らの種の反映のために。合目的的でしょ?生物として。
しかし、ほかの季節にはあまり飛びません。まあ、3月に松茸が生えないようなもんだと思ってください。
だから、kittyさんの場合も、環境としてよくはないものの、「悪化因子」にさらされない月が多いわけだから、「ステロイド離脱後の過敏性亢進の減弱正常化」も、それなりに年々進むだろうな、とは思いました。
その通りの道を歩んでいます。
だからいいんです。「ショートカットする道はあった」と書いて、動揺させたかな?劇的なショートカットになってたかどうかは、私にもわからないし、たとえば、ワンルームマンションに引っ越したとして、前の人がこっそりネコを室内で飼ってたところだったりしたら、劇的に悪化したでしょう。ネコのアレルゲンなんかは、ネコがいなくなった後でも、半年くらいは、アレルゲンとしての活性が残ってる。
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皮膚の特定の箇所のみがしつこく治りきらないことは珍しくない。上述の絆創膏の人は、確か、目の周りが治まりきらずに困ってました。
そこの部位に、ステロイドの外用量が多かったのかもしれないし、何かほかの、私にはまだ説明のできない理由が、「皮膚」という臓器には隠されてるのかもしれない。
03/10/18
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