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アトピー性皮膚炎以外のステロイド皮膚症 <戻る> ここで記すものは、アトピー性皮膚炎でのステロイド離脱という本書の趣旨からは外れるかもしれないが、いわゆるステロイド皮膚症という概念を理解する上で必要と考えた症例である。 ステロイド皮膚症とは、ステロイド外用を長期連用して中止した際、ステロイドの外用を始める前よりも強い(あるいは多彩な)皮膚の増悪を来たしてくるような状態である。 ステロイド皮膚症は、ステロイド外用中に生じてくる酒さ・ざ瘡・皮膚萎縮といった古典的なステロイド外用剤の副作用とは異なる。外用中は症状がなく中止後に初めて明らかとなるため、治療者側は気が付きにくい。 ステロイド皮膚症はアトピー性皮膚炎に限った話ではない。逆にアトピー性皮膚炎患者でステロイドを多量に外用していても、特にリバウンドを生じることもなく、すんなりと離脱してしまうケースもある。 どうも、ステロイド外用剤を連用するとステロイド皮膚症になりやすい一群の人達がいて、たまたまアトピー性皮膚炎患者ではその率が高い、といったことのようである。 1.手湿疹型 これは現在はあまり問題となっていないが、潜在的にはかなり多いと筆者は考えている。 ステロイドを中止してリバウンドを生じたので、アトピー素因を疑って血液検査をしてみたらIgE高値やRAST陽性であったということも多い。
リバウンドは手のみに限局することもあるが、手が治まった頃に腕や肘に湿疹を生じた後に消退することも多い。 指一本に限局していたステロイド抵抗性の難治性湿疹が、ステロイドの中止とともに拡大し、腕から体へと皮膚炎が拡がって紅皮症となった事例の経験もある。リバウンドはステロイドを外用していなかった部位にも生じる。
2.貨幣状湿疹型 いわゆる難治性の貨幣状湿疹でステロイドを切ってみると拡大しつつ消退しながら治癒してしまうもの。 タイプ3(地図状拡散型)や手湿疹型に似ている。臨床像は貨幣状湿疹そのものである。
4ヵ月後 / 9ヵ月後 / 14ヶ月後 ) (ステロイド中止後、2・3のようにリバウンドを生じた後治まった。その後5のように少し再燃したが、ステロイドは外用せず白色ワセリンのみで6のように治まった。) 3.老人性乾皮症型 経過から、当初老人性乾皮症であったがステロイド外用剤の連用によってステロイド皮膚症に移行したと考えられるケース。 手湿疹と同じく、潜在的に多く、今後問題となり得る。
4.掌蹠膿疱症型
5.接触皮膚炎様型
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